はじめに
ロレックスは、その卓越した品質、デザイン、そしてブランド力から、高級腕時計の代名詞として世界中で知られています。
近年では、その資産価値の高さにも注目が集まっており、「投資対象」としても語られることが多くなりました。
なぜロレックスは資産価値が下がりにくいのでしょうか?また、現物資産として保有する際のリスクにはどのようなものがあるのでしょうか?
この記事では、これらの疑問について詳しく解説します。
現物資産の種類
ロレックスの価値を知るためにはまずは現物資産という言葉について知っておきましょう。
現物資産とは、物理的な形を持つ資産のことです。株式や債券などの金融資産とは異なり、実際に手に取ったり、目で確認したりできるものが該当します。
インフレに強く、実物としての価値を持つため、ポートフォリオのリスク分散に役立つと考えられています。
現物資産は多岐に渡りますが、主なものを以下に分類します。
- 不動産: 土地、建物、マンションなど。居住用だけでなく、投資用としても人気があります。
- 貴金属: 金、プラチナ、銀など。古くから価値が認められており、安全資産として認識されています。
- 宝石: ダイヤモンド、ルビー、サファイア、エメラルドなど。美しさだけでなく、希少性も価値を左右します。
- 美術品: 絵画、彫刻、陶磁器など。歴史的、文化的な価値を持つものも多く、コレクターの間で取引されます。
- 高級時計: ロレックス、パテックフィリップ、オーデマピゲなど。精密な技術と美しいデザインが評価され、ステータスシンボルとしても扱われます。
- その他: ワイン、ウイスキー、アンティーク家具、切手、コインなど、コレクターズアイテムと呼ばれるものも含まれます。
なぜ現物資産が注目されるのか?
なぜ現金ではなく、現物資産が注目されるのか?を解説します。
以下がロレックスを含む、現物資産が注目される大きな理由です。
インフレヘッジ
インフレは、貨幣の価値が下落し、物価が上昇する現象です。
例えば、今まで100円で買えたものが110円出さないと買えなくなる状態です。この時、現物資産は物価上昇に合わせて価格が上昇する傾向があります。これは、現物資産の価値が、その物質的な価値に基づいているためです。
例えば、金の価格は、金の需要と供給、採掘コストなどによって決まりますが、インフレ時には、現物資産としての需要が高まり、価格が上昇する傾向があります。
つまり、インフレ時にお金を持っていても価値が目減りする一方、現物資産を持っていれば、その価値は維持、あるいは上昇する可能性があるため、インフレヘッジとして有効なのです。
リスク分散
投資の世界では、「卵を一つのカゴに盛るな」という格言があります。
これは、資産を一つの投資対象に集中させるのではなく、複数の投資対象に分散することで、リスクを軽減するという意味です。
株式や債券などの金融資産は、市場の動向によって価格が大きく変動するリスクがありますが、現物資産は、市場の変動に比較的影響を受けにくい傾向があります。
そのため、ポートフォリオに現物資産を組み入れることで、リスク分散効果が期待できます。
例えば、株式市場が暴落した場合でも、現物資産の価格は比較的安定しているか、逆に上昇することもあり、ポートフォリオ全体の損失を抑える効果が期待できます。
実用性と審美性
現物資産の中には、実用性と審美性を兼ね備えているものがあります。
例えば、ロレックスのような高級時計は、時間を知るという実用性だけでなく、その美しいデザインや クラフトマンシップからくる審美性も兼ね備えています。
美術品は、見る人の心を豊かにし、生活空間に彩りを与えます。ワインは、飲むことで楽しむことができます。
このように、所有する喜びや満足感を得られるのも、現物資産の大きな魅力の一つです。
希少性
現物資産の中には、希少性の高いものが多く存在します。
例えば、限定生産の高級時計や、歴史的に価値のある美術品などは、その希少性から高い価値を持ちます。
希少性の高いものは、需要が供給を上回るため、価格が上昇しやすい傾向があります。
有形性
現物資産は、手に取ることができる有形資産です。
これは、デジタルデータなどで構成される金融資産とは大きく異なる点です。
有形性があることで、所有者は安心感や実感を持ちやすく、また、災害時など、金融システムが混乱した場合でも、その価値を保持することができます。
ロレックスを現物資産として保有するリスク
ロレックスは、その高い知名度と人気から、現物資産として注目されています。しかし、他の投資と同様に、ロレックス投資にもリスクが存在します。
1. 価格変動リスク
ロレックスの価格は、常に一定ではありません。市場の需要と供給、経済状況、為替レート、新型モデルの発表など、様々な要因によって変動します。
- 需要と供給: 人気モデルは需要が高く、価格が上昇しやすい傾向にありますが、不人気モデルや生産終了モデルは価格が下落する可能性があります。また、社会情勢や流行の変化によって、需要が大きく変動することもあります。
- 経済状況: 世界的な経済危機や不況が発生すると、高級品であるロレックスの需要は減少し、価格が下落する可能性があります。2008年のリーマンショック時には、多くのロレックス製品の価格が暴落しました。
- 為替レート: ロレックスはスイスのブランドであるため、円とスイスフランの為替レートが価格に影響を与えます。円安になれば輸入価格が上昇し、円高になれば輸入価格が下落します。
- 新型モデルの発表: 新型モデルが発表されると、旧型モデルの価格が下落する可能性があります。特に、デザインや機能が大きく変更された場合は、旧型モデルの人気が低下しやすくなります。
2. 偽物・模倣品のリスク
ロレックスは非常に人気が高いため、偽物や模倣品が多く出回っています。特に中古市場では、精巧な偽物が出回っているため、専門的な知識がないと見分けるのが難しい場合があります。偽物を購入してしまうと、資産価値は大きく損なわれてしまいます。
- 購入場所: 正規販売店以外で購入する場合は、特に注意が必要です。信頼できる業者から購入するようにしましょう。
- 鑑定: 購入前に、専門の鑑定士に鑑定を依頼することをお勧めします。
- 付属品: 箱、保証書、説明書などの付属品が揃っているかどうかも、真贋を見極める上で重要なポイントとなります。
3. 保管・管理のリスク
ロレックスは高価な品物であるため、盗難や紛失のリスクがあります。また、保管状態が悪いと、傷や劣化、故障などの原因となります。
- 保管場所: 安全な場所に保管するようにしましょう。自宅の金庫や銀行の貸金庫などを利用するのも有効です。
- 保険: 盗難や紛失に備えて、保険に加入することをお勧めします。
- メンテナンス: 定期的なメンテナンスを行うことで、時計の状態を良好に保ち、価値の維持につながります。
4. 流動性のリスク
ロレックスは比較的流動性の高い資産と言えますが、株式や債券などの金融資産に比べると、売却に時間がかかる場合があります。特に、不人気モデルや状態の悪いものは、すぐに現金化するのが難しい場合があります。
- 売却時期: 売却時期によっては、希望価格で売却できない場合があります。市場の動向を見極めて、適切なタイミングで売却することが重要です。
- 売却先: 売却先によって、査定額が異なる場合があります。複数の業者に査定を依頼し、比較検討することをお勧めします。
5. その他のリスク
- オーバーホール費用: 定期的なオーバーホール(分解掃除)が必要であり、費用がかかります。
- 流行の変化: 過去に人気だったモデルでも、将来的に人気がなくなってしまう可能性があります。
- 税金: 売却益が出た場合は、場合によっては税金が課せられる時があります。
ロレックス投資を検討する際の注意点
- 長期的な視点: 短期的な利益を求めるのではなく、長期的な視点で投資を行うことが重要です。
- 情報収集: 市場動向やモデル情報を常に収集し、適切な判断ができるように努めましょう。
- 分散投資: ロレックスだけに資産を集中させるのではなく、他の資産と組み合わせて分散投資を行うことで、リスクを抑えることができます。
- 自己責任: 投資は自己責任で行うものです。リスクを十分に理解した上で、慎重に判断しましょう。
ロレックスは現物資産として魅力的な側面もありますが、上記のようなリスクも存在することを理解しておくことが重要です。
これらのリスクを十分に考慮した上で、ロレックス投資を行うかどうかを判断しましょう。特に、破損と盗難のリスクは、適切な保管と保険加入によってある程度軽減できます。
ロレックスの資産価値が下がらない理由
ロレックスの価値が下がりにくい理由は、複合的な要因が絡み合っています。主な要因を以下にまとめました。
1. 定価の上昇
ロレックスは定期的に定価を改定しており、その多くが値上げです。これは、原材料費や製造コストの上昇、為替レートの変動など、様々な要因が影響していますが、ロレックス自身のブランド戦略も大きく関わっています。
ロレックスの代表的なモデルであるデイトナ(Ref.116500LNなど)は、過去数年間で定価が何度も引き上げられています。
正規店での入手が極めて困難な状況が続いていることもあり、中古市場では定価を大きく上回る価格で取引されています。この状況は、定価上昇が中古市場に与える影響を明確に示しています。
2. 優れた品質と耐久性
ロレックスは厳格な品質管理のもとで製造されており、耐久性、精度、機能性において高い評価を得ています。これは、時計としての実用性だけでなく、資産価値の維持にも大きく貢献しています。
ロレックスが開発したオイスターケースは、防水性と防塵性に優れており、ムーブメントを外部の衝撃から保護します。
また、パーペチュアル機構(自動巻き)は、腕の動きを利用してゼンマイを巻き上げるため、電池交換の必要がありません。
これらの技術は、時計の寿命を延ばし、長期にわたって価値を維持する要因となっています。例えば、数十年前のオイスターパーペチュアルが現在でも問題なく動作し、中古市場で高値で取引されていることは珍しくありません。
3. 希少性と需要の高さ
ロレックスは需要に対して供給量が限られています。特に人気モデルは正規販売店でも入手困難な状況が続いており、希少性が価格を押し上げています。
デイトナ、サブマリーナー、GMTマスターIIなどのスポーツモデルは、正規店で購入できないという状況が常態化しています。
この入手困難さが、中古市場での価格高騰を招いています。
特に、特定のカラーリングや限定モデルは、プレミア価格で取引されることが多く、投資対象として注目される要因となっています。
4. 圧倒的なブランド力
ロレックスは長年にわたり築き上げてきた圧倒的なブランド力を持っています。その名を知らない人はいないと言っても過言ではなく、ステータスシンボルとしての価値も高く、需要を支えています。
ロレックスは、ビジネス界やスポーツ界などで成功を収めた人々が身に着ける時計として広く認知されています。このイメージが、ロレックスのブランド力を高め、需要を維持する要因となっています。
「成功者が着ける時計」というイメージは、所有欲を刺激し、価格が高くても購入を検討する層を生み出しています。
5. 生産終了モデルの存在
過去に生産が終了したモデルは、市場に出回る数が限られるため、希少価値が高まり、価格が高騰する傾向にあります。
1960年代から80年代にかけて製造された、通称「ポールニューマン・デイトナ」と呼ばれるモデルは、俳優のポール・ニューマンが愛用していたことで知られています。
このモデルは、オークションなどで数千万円から数億円で落札されることもあり、ヴィンテージロレックスの代表格として、非常に高い価値を持っています。
これらの要素が相互作用することで、ロレックスは他の時計ブランドとは一線を画す存在となり、資産価値が下がりにくい、あるいは上昇しやすい状況を生み出しているのです。
ロレックスを購入するベストなタイミング
ロレックスを購入するのに適したタイミングは以下のようになります。
- 円高の時期: 為替レートが円高に推移している時期は、海外ブランド品であるロレックスを割安で購入できるチャンスです。過去の為替レートの推移を参考に、円高傾向にある時期を狙うのが賢明です。
- 市場の落ち着き: 特定のモデルへの過度な人気集中が落ち着いた時期や、経済状況が比較的安定している時期は、価格が落ち着いている可能性があります。市場の動向を注意深く観察し、価格が落ち着いている時期を狙いましょう。
- 決算時期やセール時期: 並行輸入店や中古販売店では、決算時期やセール時期に割引販売が行われることがあります。これらの時期を狙うことで、通常よりも安く購入できる可能性があります。ただし、本当に信頼できる店舗かどうかを見極めることが重要です。
- 中古市場の活用: 中古市場では、状態の良いロレックスを比較的安く購入できる可能性があります。ただし、偽物や状態の悪い個体も出回っているため、信頼できる販売店で購入するか、専門家の鑑定を受けることをお勧めします。
避けるべきタイミング
逆に、以下のような時期はロレックスの購入を避けた方が良いかもしれません。
- 円安の時期: 為替レートが円安に推移している時期は、輸入価格が上昇するため、購入価格も高くなります。
- 新作発表直後や人気モデルへの過度な人気集中時: 需要が急増し、価格が高騰している時期は、割高で購入することになる可能性が高いです。
- ボーナス時期やイベント時期: 消費意欲が高まる時期は、需要が増加し価格も上昇しやすい傾向があります。
まとめ
ロレックスは単なる時計ではなく、現物資産として十分機能する高級腕時計です。
購入する際は現物資産としての価値を見極めて購入することで、資産を守りながら増やすことが可能です。
資産性を重視するのであれば何でもかんでも購入するのではなく、ロレックスのような現物資産を購入することをおすすめします。